
案件管理とは、主に営業部門が見込み客・顧客に対して行う「商談~契約まで」の状況を管理することをいいます。
営業を支援するシステムであるSFAにおいて、案件管理は主要な機能のひとつです。
一方、マーケティング部門はMAにより、リード(見込み客)の関心を引き上げ、購入意欲が高く商談可能なホットリードを営業部門に引き渡します。
MAとSFAを連携し情報共有することで、マーケティング部門・営業部門はそれぞれ、より効率よく成果を上げることが期待されます。
今回は、案件管理とは何かを確認したのち、MAのリード管理とSFAの案件管理を連携して成果を上げる具体例をご紹介します。
MAとSFAを連携する意味とは?
MAとSFAを連携する意味は、見込み客の“反応”と営業の“行動・結果”を一本につなぐことにあります。単にシステムをつなぐことではなく、マーケティングが得た反応データを営業が使える形で渡し、営業結果をまたマーケティングに返す仕組みをつくることだと考えると整理しやすくなります。
MAは見込み客の獲得・育成・選別を担い、SFAは営業活動や商談進行を管理する点が特徴です。
たとえば、MA側で「問い合わせ後に料金ページを再訪し、事例資料も閲覧した」という強い購買シグナルが出ているのに、その情報がSFAに渡っていなければ、営業は優先順位を誤るかもしれません。逆に、SFA側で「すでに商談化済み」「失注した」「受注した」という結果がMAに戻らなければ、不要なナーチャリングが続き、分析もずれます。
以下ではそれぞれのツールについて解説します。
MAとは?
MAとは、マーケティングオートメーションの略で、メール配信、フォーム送信後のフォローやセグメント配信、スコアリング、ナーチャリングといった繰り返し発生するマーケティング業務を自動化・最適化する仕組みです。
実務でのMAの役割は、主に次の4つです。
- Webサイト訪問、資料請求、フォーム送信、メール開封・クリック、セミナー参加など、見込み客の行動を記録する
- 行動や属性に応じて、メールやコンテンツを出し分けながら育成する
- スコアやステータスで、「今どの程度商談に近いか」を判定する
- 営業へ渡す前に、優先順位をそろえて受け渡し基準を作る
MAは「顧客がどれだけ興味を示しているか」を見るのが得意です。たとえば、資料請求はしたが商談にはまだ早い人、複数回サイトを見ていて比較検討が進んでいそうな人などを行動履歴から見分けやすいです。
SFAとは?
SFAとは、Sales Force Automationの略で、日本語では一般に営業支援システムと呼ばれます。
営業担当者の反復作業を自動化し、アカウントやコンタクトを管理し、リードから受注までを追跡できる仕組みです。
実務でSFAが担うのは、主に次の領域です。
- 顧客企業、担当者、商談、活動履歴をひもづけて、営業情報を一元管理する
- 電話、メール、訪問、次回アクション、タスクなどを記録し、営業の動きを可視化する
- 商談ステージ、受注予定日、見込金額、案件確度を管理し、パイプラインや予実を把握する
- 営業マネージャーが、案件の停滞やフォロー漏れを把握しやすくする
MAとの違いは、SFAは「誰に何が起きたか」よりも、営業が今どの案件をどう進めているかを管理するための仕組みです。MAは関心を育てるための仕組み、SFAは商談を進めるための仕組みと捉えると、使い分けがぶれにくくなります。
CRMとは?
CRMとは Customer Relationship Management の略で、日本語では顧客関係管理です。顧客情報や行動履歴、顧客との関係性を管理し良好な関係構築を促進するためのツールです。
MA・SFA・CRMの関係は、次のように整理すると理解しやすいです。
| MA | 見込み客を獲得・育成し、営業に渡す前の関心度を高める仕組み |
| SFA | 営業活動と案件進行を管理し、商談を前に進める仕組み |
| CRM | 営業・マーケティング・サポートをまたいで、顧客情報と接点情報を一元管理する基盤 |
製品によっては、MA・SFA・CRMが一体化していることがあり、MAとSFAを連携する場合に注意が必要です。
MAとSFAを連携するメリット
MAとSFAを連携するメリットは、以下のとおりです。
- ホットリードを逃さずアプローチできる
- 営業活動の優先順位が明確になる
- マーケティング施策の成果を可視化できる
- 手作業による入力や共有の手間を減らせる
ホットリードを逃さずアプローチできる
MAでは、資料請求、問い合わせ、メールクリック、料金ページの閲覧など、見込み客の行動を把握することが可能です。
MAとSFAを連携をすると、こうした行動情報がSFAに渡るため、営業は「ホットリード(今まさに関心が高い相手)」を見つけやすくなります。
たとえば、次のような情報が営業側で分かるようになります。
- いつ問い合わせしたか
- どの資料を見たか
- どのページをよく見ているか
- スコアがどれくらい高いか
これにより、営業は温度感の高い見込み客へ優先して連絡できます。ただ名刺情報や会社情報だけを渡すよりも、「何に興味がある人なのか」まで分かった状態で接触できるため、会話が始めやすく、商談化もしやすくなります。
営業活動の優先順位が明確になる
営業現場では、リードがあっても「誰から対応すべきか分からない」ことがよくあります。MAとSFAが分かれていると、営業はSFA上の基本情報しか見られず、見込み度の高い相手を判断しにくくなります。
MAとSFAを連携をすると、営業は次のような条件で優先順位を付けやすくなります。
- スコアが高い
- 直近で問い合わせや資料請求をしている
- 重要ページを複数回見ている
- セミナー参加後すぐにサイトを再訪している
上記の情報を管理することで、SFAは単なる記録ツールではなく、「今動くべき相手が分かるツール」になります。結果として、反応の薄い相手に時間を使いすぎず、成果につながりやすい営業活動に集中できます。
マーケティング施策の成果を可視化できる
MAだけでは「メールの開封率」や「資料ダウンロード数」は見えても、その施策が商談や受注につながったかまでは分かりにくいことがあります。
逆にSFAだけでは、商談や売上は見えても、どの施策がきっかけだったのかが追いにくくなります。
MAとSFAを連携をすると、次の流れを追いやすくなります。
- どの施策でリードを獲得したか
- その後どのように育成されたか
- いつ営業に引き渡されたか
- 商談化したか、受注したか
これにより、マーケティング施策を「件数」ではなく「売上への貢献」で評価しやすくなるのが大きなメリットです。
たとえば、資料DLは多いが商談になりにくい施策と、件数は少なくても受注につながりやすい施策を分けて判断できます。
その結果、広告費、セミナー、コンテンツ制作などの投資判断がしやすくなり、マーケティングと営業が同じ目線で成果を見られるようになります。
手作業による入力や共有の手間を減らせる
MAとSFAを連携をすると、リード情報、行動履歴、ステータスなどを自動で連携しやすくなるため、以下のような手作業を減らせます。
- 転記ミスが起きる
- 同じ顧客が重複登録される
- 最新情報が反映されない
- どちらのツールが正しいのか分からなくなる
営業は必要な情報をSFA上でまとめて確認しやすくなり、マーケティング側も営業の対応状況を把握しやすくなります。
営業部門の中心的業務「案件管理」とは? 案件管理の目的とは?
営業部門の主要な業務である案件管理を定義付けするとともに、その目的を確認します。
【定義付け】案件管理とは、商談から始まる営業活動のマネジメント
案件管理とは何でしょうか。
顧客獲得のための営業活動の一つ一つを案件と呼びます。
ただしどこからどこまでを案件管理と呼ぶかは、企業によって、あるいはSFAやCRMによって少しずつ異なります。
この記事では、案件管理の対象を次のように定義します。
案件管理:「ある顧客(または見込み客)との商談」を起点として営業活動を進めて、「契約」を経て「契約中」の状態となるまでの期間を管理すること
※「契約」という結果にならず「失注」で終わることもあります。その場合は何らかの結果が出るまでの期間を対象とします。
案件管理において、管理する項目は以下のようなものです。
- 企業名、担当者の役職・部署・名前、連絡先
- コンタクト履歴
- 次回の行動予定
- 提案商材と見積金額
- 契約確度
- 企業規模、決算月、その他企業情報
- 自社担当者、上司
案件管理はSFAなどの機能を活用するほか、エクセルなどで管理することもできます。
しかし、案件管理ではデータを最大限活用するために「詳細な」データを「リアルタイム」で入力する必要があります。
それを考えると、営業担当者が簡単に入力でき、共有もスピーディーなSFAなどの専用システムが運用しやすいといえるでしょう。
案件管理は一般にはSFAの主要な機能ですが、顧客情報全般を幅広く扱うCRMにも案件管理機能があり、CRMで案件管理を実施している企業もあります。
「営業活動の効率化」をはじめとする、案件管理の目的
案件管理の目的は以下の通りです。
1) 営業活動の効率化をはかり生産性を上げる
案件管理の最大の目的は生産性向上です。
営業の過程では、3回でクロージングできる客先に4回訪問していたり、契約可能性の低い顧客との商談で長く時間を使ったりといった「非効率な動き」をしている可能性があります。
一方で、確実に契約が見込める顧客にクロージングするタイミングを逃す「取りこぼし」が生じていることもあります。
案件を的確に管理し次のアクションを最適化することで担当者の非効率な動きをなくし、部門全体の生産性を上げることができます。
2) 営業部門のスキルを標準化し、ナレッジとして蓄積する
従来の営業部門では「スキルの属人化」がしばしば起こり、担当者が代わると実績をうまく引き継げないということがありました。
案件管理では情報を共有し、常に上司が「次にどうするか」を的確にマネジメントすることで、営業プロセスを標準化するとともに、各担当者のスキルアップを促します。
また、詳細なデータを蓄積・分析していくことで、自社だけの営業ナレッジを高めていくことができます。
3) 予実管理に活かす
案件管理により、当期どれだけの売上を上げられるかの見通しを立てやすくなります。売上予算をどこまで達成できるかという予実管理の精度を上げるのに役立ちます。
4) 案件分析を行い、その結果を今後の営業に活かす
「契約」または「失注」という案件の結果が出たあと、案件管理のデータをもとに分析を行います。
「契約できた案件は何が勝因なのか」「失注した案件の共通項は何か」などの分析結果をフィードバックして今後の営業活動に活かすことができます。
5) 他のシステムとの連携が可能になり、企業のデータマネジメントに寄与する
案件をデータ化・数値化することで経験を蓄積しやすくなるとともに、MAなど他のシステムとの連携が可能になり、企業全体のデータマネジメントに寄与します。
MAのリード管理とSFAの案件管理を連携する効果をケース別に紹介
MAのリード管理とSFAの案件管理を連携すると、どんなことができるでしょうか。その具体例をいくつかご紹介します。
【ケース1】商談停滞中の顧客の情報収集をキャッチ。最適なタイミングでフォロー
営業部門で進めている商談のなかには、受注にも失注にもならずに停滞してしまうものもあります。
しかしマーケティング部門からパスされた「ホットリード」であり、商談に進んでいることから見込みがないのではなく、何らかの顧客の側の事情が停滞の原因だとも考えられます。
すでに営業部門で対応している顧客ではありますが、MAのリードリストにも登録があり、アクセスログ、メルマガ開封率などの履歴を随時取得できます。
そんな状況で、停滞している顧客の自発的で顕著なWebアクセスが確認されたとしたら、顧客の事情に変化があったと想像できます。
MAからSFAへのリアルタイムのデータ連携があれば、営業担当者はタイミングを逃さずフォローに入ることができます。

このように、案件管理のなかでネガティブな状況にある顧客について、MAのリード管理でポジティブなアクションが確認できたケースは、連携のメリットが表れた事例といえるでしょう。
【ケース2】失注案件をMAに連携し、再商談へと導く
失注案件には2種類あります。
一つめは、競合他社と契約した案件。再度のアプローチで契約できる見込みが低いです。
二つめは、「今回は見合わせる」などの回答となった案件。
こちらは、中長期的なフォローにより次のチャンスで契約できる可能性があり、失注後も「有力な見込み客」としてカテゴライズすることができます。
2種類の区分けを明確にするため、案件管理では「失注の理由」をできるだけ詳細に残しておくことも重要です。
再度のアプローチが可能と認められる失注案件は、MAに引渡し、「関心度合いの引き上げ」を目指すリードナーチャリングの対象とします。
そして、失注から一定期間が経過したのち、担当者へ再度通知をし、再度の商談へと導くよう設計します。

顧客の担当者は、興味を持ちつつも一度断った相手に再度関心を伝えることにハードルを感じ、他社のみを選択肢としてしまうこともあります。
しかしそんなタイミングで営業担当者から連絡があれば、検討の選択肢として再浮上することができます。
このように、MAとSFAの連携は、「失注案件の復活」という営業部門の大きな課題に対しても有力なソリューションとなります。
【ケース3】既存顧客の失注を事前に予測し、フォローする
現在契約中の顧客で何らかの事情が発生して、解約となる場合もあります。
その理由が仮に「使いこなせないから」だったらどうでしょうか。営業部門がフォローできる余地は十分にあります。
現在契約中の顧客をMAでも管理し、Webへのアクセスログなどをリアルタイムで取得します。そのなかで「解約ページを見た」というログがあればアラートを発するように設定しておきます。
これにより、営業部門はタイミングを逃さず顧客をフォロー。解約したい顧客の事情をヒアリングし、解約理由によっては解決策を提案。解約を回避することが可能になります。
MAとSFAの連携を成功させる進め方
MAとSFAの連携を成功させる進め方は、以下のとおりです。
- まずは現状の課題を整理する
- 最小限の連携範囲から始める
- 運用ルールを明確にする
- 連携後も定期的に改善する
まずは現状の課題を整理する
最初にやるべきことは、「何を解決するためにMAとSFAを連携するのか」をはっきりさせることです。
ここが曖昧だと、連携そのものが目的になってしまい、現場で使われない仕組みになりやすくなります。
たとえば、よくある課題は次のようなものです。
- 問い合わせが来ても営業への共有が遅い
- MAには行動履歴があるのに、営業が見られない
- SFAには商談結果があるのに、マーケが活用できない
- CSVでの手作業更新が多く、ミスや漏れが起きる
- ホットリードの判断基準が部署ごとに違う
この段階で大切なのは、「何となく連携したい」ではなく、どこで業務が止まっているのかを具体的に言葉にすることです。
【業務が止まっている状態の具体例】
- 資料請求後、営業接触まで3日以上かかっている
- 同じ会社が重複登録されている
- スコアが高いのに商談化しない
- 営業がMAの情報を見ていない
上記のような状態まで見えると、MAとSFAの連携で何を改善すべきかが明確になります。
最小限の連携範囲から始める
MAとSFAを連携する際、最小限の範囲から始めましょう。おすすめは、営業が本当に必要な情報だけを連携することです。
最初に連携しやすいのは、たとえば次の情報です。
【MA → SFA】
- 氏名
- 会社名
- メールアドレス
- 電話番号
- 問い合わせ内容
- 流入元
- 閲覧履歴や資料DL履歴
- スコア
- MQL判定
【SFA → MA】
- 営業担当者
- 対応状況
- 商談化の有無
- 失注理由
- 受注結果
このように、まずは「営業が初回対応に必要な情報」「マーケが施策改善に必要な情報」に絞るのが基本です。
運用ルールを明確にする
MAとSFAを連携する際、運用ルールを事前に明確にしておくことも重要です。ツールがつながっていても、現場での使い方が曖昧だと成果は出ません。
特に決めておきたいのは、次の4点です。
- どの状態になったら営業へ渡すか
- 誰がどの項目を更新するか
- 重複データをどう扱うか
- 営業が対応しなかったリードをどう戻すか
たとえば、営業へ渡す基準が曖昧だと、まだ検討度の低いリードが大量に渡され、営業が使わなくなります。逆に基準が厳しすぎると、商談化のチャンスを逃す恐れがあります。
そのため、営業へパスする条件は、シンプルに決めるのが効果的です。
【具体例:営業へパスする条件】
- 問い合わせがあった
- デモ依頼があった
- 重要ページを複数回閲覧した
- スコアが一定値を超えた
- ターゲット条件を満たしている
また、以下のステータスの意味も統一しておくことも大切です。
- 未接触
- 対応中
- 商談化
- 失注
- 再育成
ここが曖昧だと、マーケと営業で同じ言葉を違う意味で使うようになり、連携の価値が下がります。
連携後も定期的に改善する
MAとSFAの連携は、設定して終わりではありません。実際には、連携後に初めて問題が見えてくることが多いです。
よくある問題は、以下のとおりです。
- 同期エラーが起きている
- 不要な項目が多い
- 営業が見ていない項目がある
- スコア基準が実態に合っていない
- 商談化しやすいリード条件が変わっている
そのため、連携後は定期的に見直す必要があります。見るべきポイントは、次の4つです。
- データの重複や欠損がないか
- 営業が実際に情報を活用しているか
- MQLから商談化につながっているか
- スコアや引き渡し条件が適切か
MAとSFAの連携を成功させるためには、課題を整理し、必要最小限で始め、ルールを決め、少しずつ改善することが重要です。
MAとSFAの連携で起こりやすい課題|解決策も紹介
MAとSFAを連携した際に起こりやすい課題は、以下のとおりです。
- 必要な情報が営業に正しく引き継がれない
- 連携する項目が多すぎて運用が複雑になる
- 営業とマーケティングで評価基準が違う
- 連携しただけで活用されない
<H3> 必要な情報が営業に正しく引き継がれない
必要な情報が営業に正しく引き継がれない原因は、MAにある情報がそのままでは営業にとって使いにくいからです。
MAには閲覧履歴、メール開封、資料DLなど多くの行動データがありますが、営業が知りたいのは「この会社は今どれくらい有望か」「何に興味があるか」「最初に何を話せばよいか」です。
具体的に起こりやすい状況は、次の通りです。
- 行動履歴は連携されているが、営業画面で見づらい
- 情報量が多すぎて、重要な情報が埋もれる
- スコアは渡っているが、なぜ高いのか分からない
- 流入経路や問い合わせ内容が営業に見えていない
上記の防止策は、営業が初回接触で必要な情報だけを整理して渡すことです。最低限、次の情報は見えるようにしておくと実務で使いやすくなります。
- リードスコア
- 流入元・獲得施策
- 最終問い合わせ内容
- 直近の高関心行動
- 会社情報、役職、担当者情報
- 営業へ引き継いだ日時
行動履歴を全部渡すことではなく、営業が動ける形に要約して渡すことがポイントです。
連携する項目が多すぎて運用が複雑になる
MAとSFAの運用が複雑になる原因は、連携できる項目をそのまま全部つなごうとすることです。それぞれのツールには似た意味の項目が複数あり、整理しないまま増やすと、現場がどれを見てどれを更新すべきか分からなくなります。
起こりやすい状況は、次の通りです。
- 同じ意味の項目が複数ある
- 選択肢や表記ルールがそろっていない
- どちらのシステムを正本にするか決まっていない
- 双方向連携にして、値が上書きし合う
- 担当者やステータスの定義が部門ごとに違う
防止するポイントは、項目を役割ごとに絞ることです。
最初から全部つなぐのではなく、次の3種類に分けて考えると整理しやすくなります。
- 識別用:メールアドレス、会社名、顧客ID
- 判定用:スコア、ステータス、営業引き継ぎ可否
- 参照用:流入元、最終反応日、興味テーマ
さらに、各項目ごとに次の点を決めておくことが重要です。
- どちらを正本にするか
- 値がぶつかったときはどちらを優先するか
- 入力ルールをどう統一するか
- 本当に必要な項目か
項目数を増やすより、使う項目を絞るほうが連携は成功しやすいです。
営業とマーケティングで評価基準が違う
営業とマーケティングで評価基準が異なる原因は、マーケティングが“良いリード”だと思う基準と、営業が“追うべきリード”だと思う基準がずれることです。
たとえば、資料請求やウェビナー参加が多い人はMA上では高評価になりやすいですが、営業から見ると「まだ情報収集段階」であることもあります。
起こりやすい状況は、次の通りです。
- スコアは高いのに営業が追わない
- マーケは有望だと考えるが、営業は温度感が低いと感じる
- MQLの定義が曖昧で、引き渡し基準が人によって違う
- 営業が戻した理由がMA側に共有されない
防止策は、スコアだけで判断せず、共通の引き渡し基準を決めることです。
たとえば、次のように段階を決めると運用しやすくなります。
- MQL:対象条件を満たし、一定の関心行動がある
- 営業受け入れ:営業が追う価値ありと判断した状態
- SQL:課題や導入時期が見え、商談化が近い状態
このとき大切なのは、「何点なら渡すか」だけでなく、「どんな条件なら営業が受け取りやすいか」まで決めることです。たとえば、役職、業種、企業規模、導入時期、問い合わせ内容なども基準に入れると、営業とのズレが減ります。
連携しただけで活用されない
MAとSFAが活用されない原因は、システム連携そのものが目的になってしまうことです。
データが流れていても、営業が見ない、使わない、次の行動につながらないなら、MAとSFAの連携は機能していません。
起こりやすい状況は、次の通りです。
- 連携はしたが、営業画面で必要情報が見えない
- 誰に対応責任があるか分からない
- 通知だけ来て、次に何をすべきか決まっていない
- 営業が使わず、結局手動確認に戻る
- 失注理由や受け入れ結果がマーケに戻らない
ツールが活用されない際の防止策は、連携のあとに使う運用まで設計することです。
現場で運用しやすくするポイントは次の通りです。
| >ポイント | 詳細 |
| 営業に渡す対象を絞る | すべてを渡さず、基準を満たしたリードだけ連携する |
| 営業が見る項目を固定する | スコア、流入元、興味テーマ、問い合わせ内容、対応期限を見える化する |
| 行動まで自動化する | 通知だけでなく、担当者割り当てやタスク作成まで設定する |
| 営業結果をMAに戻す | 受け入れ、保留、失注、対象外の理由を記録し、次の施策に生かす |
| 定期的に見直す | 商談化率、初回対応速度、受け入れ率を見て、基準や項目を調整する |
マーケティングから営業への引き継ぎを、現場で回る形に設計することが成功のポイントです。
MAのリード管理と案件管理を連携するときの注意点
最後に、MAとSFA/CRMで活用したい機能である案件管理との連携で成果を上げるための注意点を示します。
連携で成果を上げるためには、まずデータの整備を
2つのシステムを連携させるためには、まず各々のシステム内でデータを整備することが不可欠です。
特に、連携のキーとなる「企業名」「担当者名」などでは表記ゆれを解消しておきましょう。
企業名の場合は「株式会社××」「㈱××」「××社」などを名寄せする必要があります。
また、企業名とその企業に所属する複数の担当者についても重複をなくしてデータを整備します。
MAではアクセスログなど自動取得されるデータも多いですが、案件管理のシステムではほとんどのデータを営業担当者が随時入力する必要があります。
スピーディーに判断し行動するため、できるだけ早い情報共有が求められます。
顧客対応と同時進行でシステムへ入力する作業に負担を感じることもあるかもしれませんが、ルーティーンとして日々の業務に組み込んでいくことが大切です。
マーケティング部門と営業部門の人的な連携も不可欠
システムの連携と合わせて、マーケティング部門と営業部門の人的な連携も欠かせません。
日々のアナログなコミュニケーションから顧客フォローの重要なヒントが得られ、データによる連携を強力に補完できることもしばしばで、両部門に正のスパイラルが生まれます。
両部門、あるいは全社的に大きな目標を共有することも重要です。
共通の目標達成のために各チームがそれぞれの役割を分担して果たしていくという認識を持ち、チーム力をアップさせていくことができます。
まとめ
本稿のポイントは以下の3点です。
1. 案件管理とは、営業部門において商談から契約~契約中の状態までを管理することです。
2. 案件管理の目的は以下の通りです。
1) 生産性の向上
2) 営業部門のスキルを標準化し蓄積する
3) 予実管理に活かす
4) 案件分析を行い、その結果を今後の営業に活かす
5) 他のシステムと連携を可能にし、企業のデータマネジメントに寄与する
3. MAと主にSFAで実施する案件管理とを連携して、たとえば以下のようなことが可能になります。
1) 停滞中の商談に役立つ情報を提供
2) 失注案件をMAに連携し、再商談へと導く
3) 既存顧客の失注を事前に予測し、フォローする










